フラウンホーファーFEP(Fraunhofer Institute for Electron Beam・Plasma・Organic Electronics)

弊社欧州技術パートナーフラウンホーファーFEPの主要なコア技術をご紹介します。

各技術の詳細情報については弊社までお問合せをお願いします。

Fraunhofer FEP、メインビルディング、パイロットセンター
Fraunhofer FEP

 

 ドレスデン市内のフラウンホーファー研究センター内に位置し、真空成膜技術と有機エレクトロニクスの開発を専門とする研究所である。スタッフ数は216人、年間予算は約30億円である。旧東ドイツに存在していたボン・アルデンヌ研究所が、東西ドイツ統一後3つに分解したが、その中の約90名の研究部門が独立、その後フラウンホーファーの傘下に入り、大型の投資とともに発展、今の形となった。

 

 

 

 以下の6つのコア技術を有し、これに関連した技術開発委託、共同開発、ライセンス供与、技術指導、試作、キーコンポーネントの販売などを行う:

FEP、大型パイロット設備
FEP、大型パイロット設備

 

  • 電子ビーム技術
  • 有機エレクトロニクス技術
    (大面積フレキシブルOLED、マイクロデイスプレイ)
  • キーコンポーネント技術
  • 大面積プラズマ活性化成膜技術
  • ロール成膜技術
    (プラスチックフィルム、金属フォイル、ガラスフォイル上)
  • ICデザイン
FEP、サービス
FEP、サービス

 

 真空成膜技術においては世界トップレベルの技術とその開発力を誇る。常に2年先の開発を進めていること、ハードウエアを伴う技術を提供するところが大きな特徴であり、強みである。


 

本ページでご紹介する技術


成膜技術

【成膜技術】

1. 電子ビーム技術

   1.1. 大電力小型電子ビームガン

  

 FEP独自の新型電子ビームガン。グロー放電中の電子をビーム源とし、加速、集光した電子ビーム。実績最大90kw。高真空不要なので、差圧機構不要。価格も従来型よりも低価格。

1.2. 大気中電子シャワー照射装置

 

 真空中のタングステンフィラメントからの熱電子を極薄の特殊構造Tiフォイルを高い加速電圧で通過させ、大気中に引き出した電子シャワー。FEPの特徴は低エネルギー(>90kV)。応用は、殺菌(初期には小麦の種子の農場での殺菌や塗膜の超高速キュアリング)に使われ、最近では、医療法包装や容器、マスクなどの大量殺菌にも使われ始めている。

 

 

 

2. 高速パルススパッタ技術

2.1. カソード技術 

    ①丸形デユアルパルスマグネトロンカソードDRM400技術

 8インチ(~190㎜)径の大面積基板に基板対向式で高速(SiO2で>4nm/sec)パルススパッタ成膜が可能。各種酸化膜、窒化膜の形成に適している。特には、SiO2-SiOxNx-Si3N4系やAl2O3-AlOxNy-AlN系の場合は、基板を対向させたまま(基板は静止、または自転)、高n/低nの光学多層膜を形成することが可能。

②矩形パルスマグネトロンカソードRM技術

 インラインたR2Rコーター向けの矩形カソードである。電子は逃げても膜で汚れない”隠れアノード”を有するがゆえに、ユニポラー(断続放電。低温、低エネルギー成膜を可能にする)でもバイポラー(交互放電。基板のイオンボンバードメント効果によりち密な膜を形成。ただし、基板への熱負荷が大きく、膜応力が強くなりやすい。)の両方が可能である。特徴は、高速(SiO2>80nm.m/min)、膜厚均一性(<+-0.5%)、再現性、安定性に優れていることである。大面積の多層干渉膜

作成などに適している。

2.2. 電源技術

①UBSC-2

 DC電源と組み合わせて、矩形波パルスを生み出す。ユニポラーとバイポラー、その組み合わせが可能。最大投入電力40kW。

 

②i-Pulse

 世界でFEPのみが提供できる大電力の矩形波パルス電源である。上記のUBS-C2と異なり、DC電源がすでに組み込まれている。バイポラー、ハイブリッドパルスモードが可能である。最大、90kWの電源の実績有り。

③アノードパルスユニット

 UBSC-2に追加することで、バイポラーとユニポラーの組合せハイブリッドモードを可能にするものであり、投入電力と基板近傍のプラズマ密度を独立にコントロールできるようになる。通常の方法では得られにくい膜が得られることが特徴。例えば、膜の内部応力を低く保ったまま、圧電定数を高く維持するなど。AlScN膜など。

2.3.分光式プロセス制御ユニット(S-PCU)

 反応性スパッタで、ストイキオメトリックな高品質(ち密な)膜を高速で得るために必須の技術であり、従来は、プラズマの発光から、光学フィルターで一波長の発光ピーク強度を検出、制御に利用していたが、この方法は複数のピークを制御に利用すること(例えば、Arイオンと酸素イオンの発光ピーク強度比をパラメーターとして用いる)ことを可能にした。これにより、より長期の安定制御を可能にした(毎日の補正が不要になる)。

3. 超高速プラズマ支援蒸着 (HAD)

 プラズマガン+電源+EBガン(またはボート蒸発源)で構成される。蒸着による超高速成膜にホロカソードアークプラズマ源を組み合わせることで、基板へのイオンボンバードメント効果により膜をち密化、非晶質化して、高品質の膜を得る方法である。食品用プラスチックフィルムへのバリアコート、金属フォイルへの防食コートや装飾コートに使われる。生産機をメキシコや国内の食品用バリア膜製造メーカーに納入済みである。生産時のフィルム搬送速度は9m/secほどにもなる。プラズマガンには2種類あり、一つはビルトイン型のホローカソードプラズマ(HCD)ガン、もう一つは、フランジ取り付け型のLAVOPLASである。両者とも、1ガン当たり200Aの放電電流が可能である。これを並列に並べることで、幅広のラインソースとして使える。最大幅の実績は、15台で2.8mである。

4. 超高速アークプラズマCVD(arcPECVD)

 上記HCD or LAVOPLASプラズマ源+Sine or I-Pulse電源+プリカーサー供給システム(+排ガス処理装置 and/or除外装置)で構成される。高電流アーク放電による高密度プラズマを活用することで、超高速(SiOxCyHzで>2000nm.m/min)を実現している。HCDガンを並列配列した2.8m幅のプラズマ源もあり、その導入によりすぐにでも大面積パイロット、生産展開が可能である。 

5. プラズマエッチング

5.1. 高速パルスマグネトロンスパッタエッチング

 パルススパッタのエッチングへの応用であり、基板金属を接地電位に保ち、プラズマの電位をプラス(例えば、500V前後)に保つことで、Arイオンなどの希ガスイオンを加速し、基材を高速でエッチングする技術である。エレベーター内壁ステンレス装飾板用のスパッタTiN系成膜の前処理。基板洗浄なしでも絶対に剥がれない強固な密着性が得られている。

 

5.2. RFプラズマエッチャー

 箱型状の電極による高周波プラズマを使ったプラズマエッチャー。基板の面積と印加電極の面積比を調整することで、放電ガス(Arなど)イオンを加速でき、よって基板表面をエッチングできることが特徴。単なるプラズマ処理に比べ、表面の清浄化が可能。


有機エレクトロニクス技術

【有機エレクトロニクス技術】

1.OLED照明

1.1. 平板上OLED

 クラスター式のOLED用有機材料蒸着機構、ストラクチャリング用エッチングシステム、透明導電膜用スパッタ機構、薄膜封止用ALD成膜機構、Ag等金属電極形成用蒸着機構、ラミネーション機構などを有するクラスター式のパイロット設備を有する。クラスター式の量産設備を有し、30㎝角のOLED照明パネルを量産、試作、販売済みである。

1.2. 大面積フレキシブルOLED

 30㎝幅のR2R式OLED蒸着装置を有する。13層ほどの有機層を積層可能な多数の有機蒸発源や、Ag,Auなどの金属蒸着源、低ダメージパルススパッタ源、前処理用リニアイオ源などを搭載している。プラスチックフィルム、金属フォイル、極薄ガラスフィルムなどのフレキシブル基材にロールコーターで電極や有機EL層などを形成してフレキシブル照明などを形成する。用途は、建築・自動車・パッケージングその他用のフレキシブルOLED照明、フレキシブル太陽電池、フレキシブル表示デバイスである。FEPは、パートナーが生産するバリアフィルムの供給をアレンジできる可能性がるので、FEPからのライセンス取得によりこのデバイスを生産することもできるはずである。

2.マイクロデイスプレイ

 OLED-on-Silicon技術に基づいたSVGA=800x600 画面解像度の双方向性(発光部とフォトセンサー部をマトリックス配置)ミニチュアデイスプレイ。少ないエネルギーで高解像度のカラー画像を実現し、かつそれにユーザーとの相互作用を可能にするセンサー(光検出用フォトダイオード)を発光部とマトリックス状になるように組み込んだ。HDMIインターフェースで駆動できる。


応用技術

【応用技術】

1. 光学膜、電子材料(DRM400, RMの利用)

1.1. 圧電膜(DRM400)

 ち密で高圧電性のAlN,AlON,AlScN膜などを高速で形成可能。

 

1.2. 絶縁膜

 耐電圧性に優れた(バルク並み)Si3N4、Al2O3、AlON膜を高速で形成可能。例: AlON  2000V耐電圧、1.2x1015Ωm

 

 

1.3. 光学多層膜

 反射防止膜(SiO2~SiOxNy~Si3N4系傾斜膜、300x400㎜の3波長反射防止、など)、ダイクロイックフィルター(ルゲートフィルター、UVカットフィルター、近赤外カットフィルター等)

 

1.4. ガスバリア膜(RMで試作)

 Si3N4: ~0.005g/m2d、Al2O3<0.001g/m2d

2. 生医学技術(低エネルギー電子ビームの応用)

2.1. バイオ機能表面

2.2. 医療生産における表面加工

2.3. 医療機器用コーテイング

2.4. 電子ビーム滅菌処理/細菌削減

2.5. 生体適合性と滅菌度に関する試験

 

2.6. 蛍光センサー用OLEDオンシリコン

3. デイスプレイ(OLED-on-SiのOLEDとセンサー応用)

3.1. 双方向OLEDオンシリコン・マイクロデイスプレイ

3.2. 多様な解像度と仕様のマイクロデイスプレイ

3.3. オートステレオスコピック3Dデイスプレイ

3.4. CMOS設計、レンズ設計、システム統合、IC設計

3.5. OLED超微細構造化。例:直交リソグラフィー

3.6. デイスプレイ用機能性薄膜

4. 照明(OLED照明の応用)

4.1. 有機部品およびOLED生産用パイロット生産ラインおよび研究ライン

4.2. コンセプト研究の実施

4.3. 電子技術を応用したフレックス基板の開発と加工

4.4. 部品や素子の評価および解析

4.5. 有機部品見本の検査および加工

5. スマートビルと建築(パルススパッタの応用)

5.1. 高エネルギー効率コーテイング

5.2. 装飾コーテイング

5.3. 統合化有機用電池

5.4. 統合化センサー技術 

5.5. 客先仕様OLED照明

6. 太陽エネルギー(金属への電子ビーム成膜技術の応用)

6.1. フロントコンタクトレイヤー(TCO)

6.2. 吸収層(Si,CdTe,CIGS)

6.3. バックコンタクト層(Mo,Al,Cu.電子ビーム構造化)

6.4. 裏面担体用成膜(絶縁、バリア)

6.5. ソーラープラントクリーニングのコンサルテイング 

6.7. 有機ソーラーセル用カプセル化および接点技術

7. 機械製造(金属へのスパッタや電子ビーム蒸着の応用)

7.1. コンポーネントの真空コーテイング(例:自動車、航空機、船舶)

7.2. コンポーネントの電子ビーム加工 

7.3. コンポーネントのクリーニングコンサルテイング

8. パッケージング(超高速プラズマ支援蒸着の応用)

8.1. プラスチックフィルム及び金属フォイルの真空中ロールコーテイング

8.2. バリアレイヤー

8.3. パッケージ製品の電子ビーム滅菌処理

8.4. 印刷インクの電子ビーム硬化 

8.5. プラスチック表面の電子ビーム改質

9. 環境とエネルギー(パルススパッタや電子ビームの応用)

9.1. エネルギー収集用コーテイングおよび薄膜改質

9.2. 再生可能エネルギー利用を目的とする表面処理及びコーテイング

9.3. 有価廃棄物の再利用および製錬プロセス

9.4. 排水・排ガス浄化プロセス

10. 農業(低エネルギー電子ビームの応用)

10.1. 種子の電子照射処理

10.2. 飼料および食料の電子ビーム滅菌処理

10.3. 再生原料からの素材改造 

10.4. 農機による異物検出

11. 輸送

11.1. 腐食保護、凍結保護および引っ掻き耐性コーテイング

11.2. 反射防止コーテング

11.3. ポリマーの硬化

11.4. 革新的センサーシステム用コーテイング

11.5. フレキシブル有機照明システム

11.6. 内蔵センサー及びデイスプレイ・OLEDデータゴーグルを使用する運転手補助情報

12. 文化遺産保存技術

12.1. 骨董鏡復元、腐食検知センサー 

12.2. 遷移及び銀装飾物のプラズマクリーニング

12.3. 紙の固化 

12.4. 紙、プラスチック及び木材の滅菌


次世代バッテリー開発

【次世代バッテリー技術】

高性能バッテリー部品の高コスト効率の生産を実現するための真空成膜技術開発

Li、LiSiの高速電子ビーム加熱蒸着

 

固体型電池用電解質LiPON膜のR2R式反応性プラズマ活性化蒸着


 

その他の欧州技術パートナーの主要コア技術をご紹介します。

  • フラウンホーファーIWS 
  • フラウンホーファーIST
  • フラウンホーファーIOF
  • HSM TechConsult GmbH
  • Sempa Systems GmbH
  • Smit Thermal Solutions
  • Meyer Berger Germany
  • AGC-PTS(AGCヨーロッパ)