フラウンホーファーFEPは20年以上にもわたって高速反応性パルスマグネトロンスパッタリングによる酸化膜や窒化膜の作成技術開発において世界をリードしてきた。そして、最近の光学およびオプトエレクトロニクス用高品質膜の需要増に合せ、高度C軸配向AlN膜やAlScN膜、近赤外および赤外域の光学フィルター向けの高屈折率膜(a-Si:H他)などの作成技術の開発を進めてきた1)。そこから次の技術進化としてスパッタエピタキシー技術の検討を開始した。GaNに代表されるⅢ族窒化物パワーエレクロニクスが、大量消費市場へ移行しつつある中、製造メーカーはエピタキシー成膜のコスト低減と生産性向上を望んでいるが、現行のOMVPE(有機金属気相エピタキシー)では、対応が難しくなりつつある。そのような状況下、FEPはスパッタエピタキシーによるⅢ族窒化膜の大面積・低コスト・量産技術の実現を目指している。ここでは、それらの最新開発状況を紹介する。
反射防止(AR)膜は、眼鏡レンズ、ショーウィンドウ、額縁、太陽電池の保護板、各種ディスプレイなどに幅広く使われてきたが、最近になって、携帯端末や自動車用途向けのニーズも高まり、その技術、特に大面積量産向けのAR技術の重要性が増している。今月号では、著者の海外パートナーの一つであるベルギーとドイツを拠点とするAGCヨーロッパの一部門プラズマテクノロジーソリューションズ(AGC-PTS)が、大面積・量産用として開発し、キーコンポーネントや生産機の製作販売を進めている三つのAR関連技術、“遠隔操作によるオンライン膜厚均一化技術”、“高速ホローカソードプラズマCVD技術”1)、“イオン注入によるAR処理技術“を紹介する。
以前、本誌にて、次世代電池の開発を進めているドイツ、フラウンホーファーのバッテリーアライアンスのメンバーであるフラウンホーファーFEPの次世代Li電池用ロールツーロール(R2R)式成膜技術全般を紹介した1)が、今回はその後に開発された超高速真空Si&Zn共蒸着(>100nm/s)と後加熱脱Zn処理を組み合わせた彼らが“気相脱合金法”と呼ぶ手法による多孔質Siアノード形成技術2)を紹介する。
電子ビーム、スパッタやプラズマCVDなどのプラズマ応用成膜技術、OLEDを中心とした有機エレクトロニクスとUV処理などの技術を用いた衛生関連分野における洗浄、消毒、殺菌を中心に、開発の全体状況と最新開発成果を紹介
高速パルススパッタリングの最新応用展開;AlN系圧電膜から近赤外用高屈折率a-Si:H膜、そしてエピ成長Ⅲ族窒化膜へ
DLIP(直接レーザー干渉パターンニング)を用いたナノストラクチャリングによる表面機能化技術の特徴、最新応用例、コンポーネントのご紹介
昨今の自動車用デイスプレイ、LiDAR用カバー、新型コロナ対策用シールド板などへの反射防止処理ニーズの高まりを考え、(株)サーフテックトランスナショナルの欧州技術パートナーの反射防止関連技術をまとめました。
自動車用LiDAR用カバーや時計のカバーなどの反射防止には、実用に耐える耐摩耗性や屋外使用のための耐候性が必要とされます。これに対応できると期待されるAGCヨーロッパのイオン注入による反射防止技術を紹介します
「気相脱合金法によるLi 電池用多孔質Si 薄膜アノードの作成」に関する技術報告をいたします。
鈴木巧一、S. Saager